使用環境と作業空間

部屋の明るさについては下の図8-3に示すように照度値はかなりばらついているのにもかかわらず「ちょうどよい」とした回答者が多かった.
図8-1 部屋の明るさの評価
 
机上の明るさは,「やや暗い」とする回答者が若干多い.
図8-2 机上の明るさ評価
 
いずれもかなり広い照度範囲で使われている実態を示している.
図8-3 キーボード上と画面の照度
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照明器具の映り込みはLCDモニターよりCRTとLCDノートが若干訴えが高い.

LCDノートでCRTと同程度に映り込みの訴えが高いのは,LCDノートが後傾(平均約70°)で利用していることも影響している.
図8-4 照明器具の映り込み
 
窓の映り込みはCRTが若干目立つ.
図8-5 窓の映り込み
 
机上の作業空間に満足している回答者は半数に満たない.ディスプレイによる差は認められない.

LCDの省スペースの効果はユーザー評価に反映されていない.次の図8-7に示されているようにLCDは最初から奥行きの狭い机を使用しているためでもある.
図8-6 机上の作業空間の評価
 

作業場の寸法については,ディスプレイ中心の高さ,ディスプレイの傾斜角,机の奥行きに3つのディスプレイ間で差が認められる.

図8-7 ディスプレイ作業場の寸法
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上の図8-7の数値データ
図8-8 ディスプレイ作業場の寸法(数値データ)
 
机上の作業空間の評価と終業時の肩の疲労感との関係.

机上の作業空間が「狭い」と感じている回答者群と「ほぼ満足」と感じている回答者群で終業時の肩の部位の疲労感に有意な差が認められた.

VDT作業の筋骨格系の負担を軽減するために,充分な作業空間を確保することの重要性を示すデータである.
図8-9 机上の作業空間の主観評価と肩の凝りとの関係(図3-10に同じ)
 
「ほぼ満足」以上の机上スペースを確保するためには,概ね幅140cm,奥行き75cmのVDT机が必要である.

このスペースが狭いと終業時の肩こりの訴えが有意に高くなることは前の図8-9に示したとおりである.
図8-10 VDT机の大きさと机上空間の主観評価の対応